美しい輝きと希少性の高さから、世界中の人々を魅了してやまない「金」。
その歴史は古く、約5,000年ほど前の古代エジプトでは金を使った煌びやかな装飾品が作られ、権力の象徴として王族が使用していました。
普遍的な価値をもつ金は、やがて金貨として世界中で流通するようになります。
また金は、株式や債券のように価値が突然なくなるリスクがないため、近年では投資対象としても人気を集めているのが特徴です。
金投資には地金や金貨などを現物で保有するシンプルな方法や、定期的に純金を購入して積み立てていく純金積み立てなど、さまざまな方法があります。
金投資の中でも、投資初心者から特に注目されているのが「金ETF」です。
金ETFは特別な手続きが必要ないうえ、少額からでも気軽に始められるのが魅力。
金の現物を保有する訳ではないため、盗難や紛失のリスクがないのもポイントです。
そこで今回は、金ETFのメリット・デメリットから、おすすめの銘柄まで徹底解説。
金ETFについて知りたい方や、金投資に興味のある方は、ぜひ最後までご覧くださいね。
ブランド買取販売店「ギャラリーレア」で常務執行役員として勤務。高級時計、宝石の査定を得意とし、業界で15年以上の豊富な経験を持つ。
現在は「お客様にとっての特別な企業になる」という信念と共に、国内10店舗を統括している。
目次
金のETFとは?
ETFとは「Exchange Traded Fund」の略称で、日本語で上場投資信託という意味があります。
その名の通り証券取引所に上場しているため、株式のようにチャートを見ながらリアルタイムに取引できるのが特徴です。
そして金ETFは、金の市場価格と連動するように設定されており、東京証券取引所などに上場している投資信託のことを指します。
金の市場価格と同じように値が動くため価格が分かりやすく、インターネットを通して売買できるのも魅力です。
また証券口座さえあれば気軽に始められるうえ、1口8,000~9,000円ほどから購入することが可能。
金の現物を購入するよりもリーズナブルなので、投資の初心者にもおすすめです。
金のETFと現物の違いはなに?
ここからは、金ETFと現物との違いを具体的に解説していきましょう。
金のETFと現物の違い1:取引方法
金投資のなかで最もシンプルなのが、地金や金貨など金の現物を購入すること。
地金や金貨は貴金属商・宝石商・百貨店などに直接訪れるか、オンラインで購入することも可能です。
購入した金の現物は自宅や銀行などで保管しておき、金の相場価格が上がったタイミングで買取業者へ売却します。
売却したい日の1gあたりの金価格×金の重さで買取相場が簡単に出せるため、複雑な計算が必要ありません。
それに対して金ETFは、証券会社で口座を開設して資金を送金してから、自分で銘柄を選んで投資します。
すでに株取引を行っている方であれば、新たに口座を作る必要はありません。
また金ETFは証券取引所が開いている時間帯であれば、株の売買のようにリアルタイムでの取引が可能。
インターネット上ですべての手続きが完了するため、自宅でも外出先でも気軽に投資が行えるのもポイントです。
金のETFと現物の違い2:課税方法
金の現物は土地や建物のように実物資産に分類され、売却により得られた利益は「譲渡所得」とみなされます。
譲渡所得とは、個人のもつ資産を譲ったり売却したりした際に発生する所得のことで、年間で50万円の特別控除があるのが特徴。
金の現物を売却して得られた利益とその他の譲渡益を合わせ、50万円を超えた金額が課税の対象です。
それに対して金ETFは、他の所得と切り離して計算をする「申告分離課税」に分類されます。
給与など他の所得とは合算せず、金ETFで発生した所得のみ一律で20.315%の税金がかかります。
申告分離課税は原則として自分で確定申告を行わなくてはなりませんが、手続きが面倒な方は証券会社の「特定口座」を利用し「源泉徴収あり」を選びましょう。
すると特定口座で生じた利益は証券会社が天引きし、税務署へそのまま納税してくれるため確定申告が必要ありません。
ただし、利益が20万円以下など納税が必要のない場合でも自動的に税金が差し引かれてしまうため、少額から金ETFを始めたい方は注意しましょう。
金のETFと現物の違い3:保有方法やそれに伴うコスト
金を現物で所有すると、見た目の美しさを堪能できるだけでなく、有事の際にはすぐに換金できるのが大きなメリットです。
ただし金の現物保有には、さまざまなリスクが伴うこともおさえておきましょう。
金はとても柔らかいため他の貴金属と一緒に保管すると傷がつく可能性があるだけでなく、自宅での保管は盗難にあうリスクも。
そのため金の現物は自宅で保管するよりも、銀行や業者の貸金庫に預けるのが良いでしょう。
なお貸金庫を利用すると保管料がとられたり、引き出しの手数料をとられたりして年間で数千~数万円ほどの費用がかかるのが難点です。
それに対して金ETFは現物を所有する訳ではないため、金の保管手数料は一切かかりません。
ただし売買手数料や運用管理費用などは必要なので、費用をなるべくおさえたい方は証券会社ごとの諸費用を比較しておくと良いでしょう。
金ETFに投資するメリット・デメリットを解説
続いては、金ETFに投資するメリットやデメリットを詳しく見ていきましょう。
金ETFに投資するメリット
株に投資するためには最低でも数万円~数十万円の資金が必要ですが、金ETFは数千~数万円の資金があれば始められます。
運用のためのコストも投資金額の0.4~1%ほどと低く、一般的な投資信託よりもランニングコストがかからないのも魅力。
そのため金ETFは長期的な視点でじっくりと利益を出したり、資産の目減りを防いだりしたい方にぴったりの投資方法です。
また金の現物を500g未満で購入すると、ほとんどの場合購入手数料を払う必要があります。
しかし金ETFの場合は、1日に100万円未満であれば購入手数料なしで取引できる証券会社が多いため、少量の金を購入したい方にぴったりです。
金ETFに投資するデメリット
金ETFの最大のデメリットは、株のように利息や配当金がないこと。
金は保有しているだけでは利益が生まれず、金を売却した時のみ利益がでるため、不労所得を得たい方には適していません。
自分自身でタイミングを見計らって取引をしなければならないため、売り時を見極める知識や状況を読む力が必要となります。
また、金ETFは他の投資方法と比較して、大きな利益を出しにくい点もデメリットいえるでしょう。
金を購入した価格よりも高くなったタイミングで売却すれば利益が生まれますが、利益には20.315%の税がかけられます。
また売買手数料や信託報酬なども必要とされるため、大量の金を売却しなければ大きな利益を生むことは難しいです。
そのため金ETFは短期間で利益を生みたい方よりも、10年、20年かけて長期での資産形成に取り組みたい方に適しています。
金ETFのおすすめ銘柄を徹底比較!
SPDRゴールド・シェア (1326) |
NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信 (1328) |
純金上場信託(現物国内保管型) (1540) |
WisdomTree金上場投資信託 (1672) |
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対象指標 | 金地金価格(LBMA金価格) | 1グラム当たりの円表示の金価格 | 金 | 金 |
金現物との交換 | 不可 | 不可 | 可 | 不可 |
分配 | なし | なし | なし | なし |
管理会社 | ワールド・ゴールド・トラスト・サービシズ・エルエルシー | 野村アセットマネジメント | 三菱UFJ信託銀行 | ウィズダムツリー・マネジメント・ジャージー・リミテッド |
信託報酬率 | 0.4% | 0.55% | 0.44% | 0.39% |
金ETFの中で特におすすめの4つの銘柄を、順番にご紹介していきましょう。
まず「SPDRゴールド・シェア」は、円換算した金地金価格との連動を目指すETFです。
金ETFの中でも圧倒的な市場シェア数を誇り、世界中の投資家も利用しているので、信頼性の高い銘柄です。
続いて「NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信」は、日本円換算した1gあたりの金価格との連動を目指すETF。
保有コストは年間で0.55%とやや高めですが、SBI証券・楽天証券・auカブコム証券などの証券会社から購入すれば、ほとんどのケースで取引手数料が発生しません。
次に「純金上場信託」は、日本の投資家にもなじみ深い円・グラム単位の金価格との連動を目指すETFです。
純金上場信託の最大の特徴は、地金との交換ができること。
金ETFは原則として現物を保有できませんが、純金上場信託は受益権口数と引き換えに金の現物を受け取れます。
そして「WisdomTree金上場投資信託」は、ロンドン地金市場協会(LBMA)の規格に基づく金地金の現物に投資し、金価格との連動を目指すETFです。
1口単位で取引ができるうえ信託報酬率も0.39%と低く設定されており、ランニングコストが気になる方に適しています。
金ETFを取り扱う楽天証券・SBI証券・マネックス証券を比較
楽天証券 | SBI証券 | マネックス証券 | |
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最低取引単位 | 1口 | 1口 | 1口 |
取引手数料 | 0円~(銘柄やコースにより) | 0円~(銘柄やコースにより) | 0円~(銘柄やコースにより) |
年会費 | 0円 | 0円 | 0円 |
特徴 | 取引手数料の1%をポイント還元 | ネット証券口座開設数NO.1 | アプリや分析ツールで多角的に投資をサポート |
金ETFを取り扱う証券会社の中で、特に人気を集めているのが「楽天証券」「SBI証券」「マネックス証券」の3つです。
楽天証券は取引手数料の1%が楽天ポイントに還元されるため、普段から楽天のサービスを利用している方におすすめ。
また、オプションに申し込むことで1ポイント1円として新たに投資ができるのも魅力です。
続いてSBI証券は、ネット証券口座開設数が国内No.1で、圧倒的なシェアを占めているのが特徴。
お気に入りの銘柄を登録したり、売買がワンクリックでできたりと便利なツールが備わっているため、短時間でサクサクと取引を行いたい方におすすめです。
最後にマネックス証券は、1株から購入できるうえ、購入時の手数料をとられないのが特徴。
また取引からセミナーの申し込みまで総合的にできるアプリや、銘柄ごとの価格の推移がひと目でわかるツールがあるめ、金ETFの初心者にもぴったりです。
金のETFについてのまとめ
まとめ
- 金ETFは金の現物を保有しないため、盗難や紛失のリスクがない
- 金ETFは上場しているため、株式と同じようにリアルタイムで取引ができる
- 金ETFは数千~数万円で始められるため、投資初心者にもおすすめ
今回は、金ETFのメリット・デメリットや、おすすめの銘柄などを解説してきました。
金ETFは株よりも少額で始められるうえ、株のようにリアルタイムで取引できるのが特徴。
基本的にオンラインで申し込みが完了するため、金の現物を購入したり売却したりする手間をかけたくない方にもおすすめです。
有事の際にすぐに換金できるよう金の現物も保有しておきたい方は、地金とも引き換えられるプランのある証券会社を選ぶと良いでしょう。
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