シルク製品は柔らかくなめらかで、とにかく肌触りが良い素材です。シルクが天然繊維であり、蚕のまゆから作られることは有名ですが、高価な上に手入れも難しい、毎回クリーニングに出すのは費用がかかる……そう聞くと敬遠したくなるかもしれません。
しかし、シルクは昔から日常生活にも用いられてきた天然素材です。コツさえ知っていればスカーフやネクタイなどの小物はもちろん、パジャマなどの衣類も自宅で汚れを落とすことができますよ。
今回は、シルクのお手入れについてご紹介します。
シルクの性質
シルクは軽くて光沢があり、静電気を起こしにくい性質を持っています。繊維間の気泡による断熱効果で保温・保湿にすぐれ、汗をかいてもすぐに吸湿・放湿してくれるため、年間を通して着心地がとても良いのが特徴です。
一方で、その柔らかさゆえに摩擦に弱く、毛羽立ちやすい、破けやすいという欠点があります。また、染色強度が十分ではないため水分による色落ち(脱色)を起こしやすく、直射日光に長く当たると黄ばんでしまいます。さらに主成分がタンパク質であるため、カビや虫食いの害を受けやすいことも否定できません。
それでは、シルクを扱う際に気をつけるべきポイントを整理してみましょう。
・摩擦を与えない
・不要な力をかけない
・長時間水に浸けない
・直射日光に当てない(高温を避ける)
・乾燥した状態を保つ
・防虫シートを使って保管する
これらのことを踏まえて、お手入れすることをオススメします。
シルクの汚れはこまめに落とそう
日々のお手入れでは、帰宅時にまずホコリを払いましょう。柔らかいブラシで、縫い目や織り目に沿ってやさしく丁寧にブラッシングします。必要以上に強くブラシをあてると生地を傷めてしまうため、手加減しながら行ってください。
衣類はもちろんのこと、小物類も幅のあるハンガーにかけ、直射日光を避けて風通しの良い場所に吊しておきましょう。しっかり乾燥させること、着用時のシワを伸ばすことを心掛けることをオススメします。
また、直接肌に触れるシャツやブラウス、スカーフなどに汗が付着した場合、乾かすだけではシミになってしまうことがあるため、固く絞ったタオルなどで叩いて落としておきましょう。洗えるシルクであれば、翌日には洗濯(またはクリーニング)をオススメします。
シルクの洗濯は手洗いが基本
シルクに限らず、どのような生地であってもまずは洗濯表示の確認をしてください。最近は洗えるシルク(ウォッシャブルシルク)が増えてきました。衣類などの表示タグに「手洗いマーク」や「洗濯機マーク」があれば洗濯ができます。ドライ指定マークの場合は、家庭での洗濯は避けた方が良いでしょう。
シルクは摩擦に弱く、長時間水に浸けない方が良い素材であるため、基本的には手洗いがオススメです。
シルクの洗濯手順
1.目立たないところで色落ちや縮みの有無を確認する
脱色や異常が出たら洗濯は中止した方が無難です。
2.30℃以下のぬるま湯におしゃれ着用中性洗剤(シルク専用洗剤)を入れて、洗濯液を作る
3.やさしく押し洗いか振り洗い、またはつかみ洗いする
目立つ汚れは軽く叩いて洗いましょう。
4.洗剤の成分が残らないよう、十分にすすぐ(柔軟剤は可)
5.タオルドライで型崩れを防ぐ
6.振りさばいて形を整え、日陰で自然乾燥させる
7.生乾きの状態でアイロン(低音)をかけて仕上げる
また、洗濯機が使える製品の場合でも、必ず洗濯ネットを使って摩擦を避けましょう。
ドライコースなどの弱水流で洗い、脱水する場合は数秒単位で様子を見ます。濡れた状態のシルクは生地の強度が低く、非常に傷みやすいため注意が必要です。
おわりに
シルクという素材の特徴を知り、シルクにとって望ましくない状態を避けることができれば、家庭でのお手入れも難しくはありません。まずは、しっかりと製品の洗濯表示を確認しましょう。シルクは洗うと繊維が固くなりゴワゴワしやすいため、家庭で洗う場合はシルク専用の洗剤を使うことをオススメします。
なお、アイロン(低温)の使用に関しては、熱と摩擦が毛羽立ちの原因になるという考え方もあります。生地への負荷を最小限に留められるよう短時間で済ませてください。アイロンも目立たないところで試してから行うと安心です。