機械式時計の在り方は時代の流れの中で変化を続け、かつてすべての機械式時計が目指した精度や視認性向上への取り組みに対するスタンスにも、メゾンごとの個性が表れるようになりました。しかし、IWCのようにウォッチメイキングの伝統を大切に守り続けるメゾンは、数少ないといえるのではないでしょうか?
今回はそんなIWCの時計の中から、スーツに合わせやすいダイバーズウォッチとパイロットウォッチを5つご紹介します。
「アクアタイマー オートマティック」(IW329003)
2014年に全面刷新を受けたアクアタイマーコレクションの中でも、こちらは最もベーシックな42㎜径のバリエーション。
ラバーベルト仕様のマッシブなダイバーズウォッチであり、シャツのカフに収めるには多少厳しい部分があるものの、スーツの袖からのぞくシルバーダイヤルは、エレガントな存在感があります。
シルバーダイヤルにブラックのラバーベルトというオーソドックスなカラーリングのため、どのようなスーツにも似合うのが魅力。ラバーベルトのため、オフィスカジュアルなスーツに似合うのはもちろん、フォーマルなスーツをおしゃれにカジュアルダウンさせることも可能です。
「アクアタイマー クロノグラフ」(IW376803)
こちらも2014年初出のアクアタイマークロノグラフの現行モデル。
往年の傑作、オーシャン2000に範を得たというアウターベゼルをはじめ、モダンな意匠が際立つ現行のアクアタイマーですが、高い視認性を誇るマットなブラックダイヤルはツールウォッチならではの実用本位な素朴さを匂わせ、そのバランスの良さがこのモデルの大きな魅力のひとつとなっています。
あえてシックなダークスーツにブラックのタイ、ブラックのオックスフォード・シューズといったシックな装いを着崩すにはおもしろいアイテムでしょう。
「パイロットウォッチ クロノグラフ デイデイト」(IW377709)
視認性に特化したダイヤルが独特の迫力を持つ、パイロットウォッチの現行コレクションの中で、ブラックのカーフストラップを合わせたベーシックな1本。
43㎜径のケースと細いベゼル、広い開口部は、複雑になりがちなクロノグラフの顔をすっきりと見せています。
モノトーンが際立ち、さりげなくも個性が強いこのモデルをスーツと合わせる際には、例えばライトグレーのスーツに白系のシャツ、ブラックにホワイト・ドットのプリント・タイなど、モノトーンを基調として選べば簡単にまとまりますし、濃いめのチャコールグレーのスーツで置き換えればよりシックになります。
スモールセコンドにあしらわれた赤を拾うタイを合わせれば、より高度なおしゃれも楽しめそうです。
「ビッグパイロットウォッチ プティ・プランス」(IW500908)
フランスを代表する作家であり、生涯パイロットであり続けたアントワーヌ・ド・サンテグジュペリが残した名作、「プティ・プランス」は、国境や時代、そして世代をも越えて、21世紀の現代においてもなお、色あせることのない人生のテーマを語り掛ける不朽の名作として、世界中で愛読されています。
そんなプティ・プランスをオマージュしたパイロットウォッチ・コレクションの特徴は、高精度のツールウォッチならではの視認性、判読性を最優先してデザインされたブルー文字盤と、ホワイトの夜光インデックス、夜光針が織りなす顔ではないでしょうか。
ブラックの文字盤よりも柔らかく清潔感のある印象を与えながらも、基本的にクラシックなこのモデルは、46㎜径という腕時計として最大級のサイズながら、あらゆるクラシックスタイルに難なく溶け込むキャラクターを持っています。
大きめのリベットが打ち込まれたブラウンのカーフストラップに合わせて、ベルトやシューズなどのレザーアイテムに同系のブラウンを持ってくれば、より良い調和が得られることでしょう。
オフィスカジュアルにするのであれば、スーツより少し砕けた印象のブラウン系のジャケット・パンツスタイルで、文字盤のブルーに近い色を含むネクタイなどの小物を合わせてもおしゃれではないでしょうか。
「パイロットウォッチ オートマティック36」(IW324007)
他のモデルと比べて随分と小さく見える36㎜径のケースサイズを特徴とするこのモデルですが、実はこのパイロットコレクションの元祖となった往年の傑作機、マーク11と同じサイズです。
こちらに紹介するIW324007は、シルバーダイヤルにブラックのアラビア数字アワーマーカー、ブラックフレームの夜光針でコントラストを与えて視認性を確保しながら、少し個性的なグレーのアリゲーターストラップによって全体を軽めの印象に仕上げています。
ベーシックな三針モデルで厚ぼったさもなく、シャツのカーフにも収まりやすいサイズ。モノトーンを基調としながらも、ややベージュに寄った色のアリゲーターストラップは、あらゆるスーツとの相性抜群です。
おわりに
ツールウォッチであるダイバーズウォッチやパイロットウォッチは、あまりかしこまったスタイルと親和するものではないのが普通と思われますが、真摯な姿勢で作り込まれたIWCのプロダクトたちはビジネスシーンにおいても好印象を与えてくれます。
さらにひとつポイントを付け加えるなら、シューズのお手入れをいつもより念入りにすることをおすすめします。輝くシューズとIWCの組み合わせは、あなたの誠実さをアピールしてくれますよ。