古くは権力の象徴であり続けた毛皮が、一般的なファッションアイテムとして発展したのは19世紀ごろからといわれています。
本格的に普及し始めたのは昭和45年以降ですが、それから現在に至るまで、毛皮は私たちの日常を彩るファッションアイテムとして人気となりました。
今回は、そんな奥の深い毛皮を日常にうまく取り入れるために、毛皮にはどんな種類・特徴があるのかをご紹介します。
目次
毛皮のつくり
毛皮は、「刺し毛」と「綿毛」の二部で構成されています。刺し毛に使われているのが、毛皮のメインとなる動物の毛です。周りに細かく生えそろった綿毛が真ん中の刺し毛を支えることで空気の層を作り、体から熱が逃げるのを防ぎます。それが優れた防寒性につながっているのです。
それでは、毛皮の種類をチェックしてみましょう。
世界三大毛皮【セーブル・チンチラ・リンクス】
天然素材の毛皮であるリアルファーの中でも、次の3つは「世界三大毛皮」と呼ばれています。希少価値が高いため値段も高価格です。
セーブル
イタチの仲間。日本では「黒テン」(くろてん)と呼ばれます。ロシアンセーブル、アメリカンセーブル、カナディアンセーブルなど種類はさまざまですが、有名なのはロシアンセーブルです。毛皮の中でも最も高級であり、昔から皇族や貴族などが愛用してきました。
チンチラ
ネズミの仲間。色にグラデーションがあることが特徴。毛は柔らかくすべすべしています。こちらも、高級毛皮として扱われます。
リンクス
オオヤマネコの仲間。茶色と白の毛がまだらになって生えています。全身に斑点模様がついており、その中でも特に、斑点模様のはっきりしたおなかの毛は非常に価値が高い部分です。
有名な毛皮【ミンク・フォックス・ラビット】
ミンク
カワウソの仲間。毛に光沢感があるのが特徴です。サファイア、ブルーアイリスなど、色の種類が豊富なことでも知られています。綿毛が多いため高い保温性を持っています。マフラー、ストールなどの小さめのファッションアイテムであれば、比較的手に入りやすい価格帯で取引されます。
フォックス
キツネ。刺し毛が少しとがっているのが特徴です。シルバーフォックス、ブルーフォックス、レッドフォックスなどがあります。ファーの中では比較的安価で、手に入れやすい種類です。
ラビット
ウサギ。毛が短く染色もしやすいことから、安価で出回っています。白ウサギ、ゴマ、ゴール、黒ウサギとラビットにもさまざま種類があり、中でもレッキスやアンゴラは高値で取引されます。
その他、ラム(羊)、ヌートリア(大ネズミ)、リス、タヌキなどがリアルファーの素材として使われています。
フェイクファー
ここまででご紹介したリアルファーは、天然素材です。天然がゆえに、毛皮の採取目的で乱獲されてきた歴史があり、実際に絶滅した種もあります。
そこで、自然・動物愛護の観点から、フェイクファーが登場しました。しかし、フェイクファーはアクリル繊維やポリエステル繊維で作られているため、環境負荷の観点から反対する論者もいるようです。オーガニックコットン糸を使用している工場はまだまだ少なく、環境問題をどのように解決するのかが今後の課題とされています。
おわりに
昔からさまざまな種類のリアルファーが使用されてきましたが、近年ではフェイクファーに注目しているブランドやショップも多くあります。実際、売り上げが減ることを承知で、リアルファー製品の取り扱い廃止を決めたアパレルブランドや大手ショップの数は200以上。
これからは、消費者側も自らのエシカルファッションについて思考し、決断することが求められていくのかもしれません。