近年、金の価格相場は歴史的な高騰を見せていて、1gあたりの価格がついに20,000円台に達しました。
この急激な価格高騰を受けて、これから金の価格はどうなっていくのか、どこまで価格が上昇するのか気になっている方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、今後さらに価格が2倍になると予想されている金について、価格が上昇している原因や売却すべきタイミングなどについて詳しく解説していきます。
金価格の推移と動向
2025年10月現在、1グラムあたり2万円を超えている金の価格ですが、2000年頃までは1グラム1,000円台で取引されていました。ここ10年ほどの期間でみても、5倍近く高騰しているのがわかります。
1990年代から低迷していた金の相場は、バブル崩壊後の低金利政策やドル安などの影響で上昇基調に転じ、2005年頃にかけて金の価格は右肩上がりに上昇しました。
その後、2008年のリーマンショックで安全資産の需要が急騰したことを受けて、金の価格は大きく上昇し2011年には当時の史上最高値を更新しています。
2011年以降はしばらく緩やかに推移していた金相場でしたが、2018年には米中貿易摩擦などの社会不安をきっかけに再び金相場が上昇しはじめ、2020年のコロナショックを機に一気に価格が高騰しました。
その後も、ウクライナ侵攻などの経済不安が続いたことで、金相場は急騰を続け現在も最高値を更新し続けています。
金価格が2倍になると予想される理由
現在進行形で史上最高値を更新し続けている金ですが、現在の価格からさらに2倍にまで値上がりすると予想されています。
今度も金の相場が上昇すると推測されている理由や根拠について、さらに詳しく解説していきます。
金額が2倍になると予想される理由１：安全資産としての需要高騰
現在も続くウクライナ侵攻や貿易摩擦などの国際的緊張によって、有事の際の安全資産として金の評価は高まってきています。
これまでも、バブル崩壊やリーマンショックなどの経済不安が高まった時期には、多くの投資家がリスク資産から金へと投資対象を変更したことで金の価格が大きく上昇しました。
こうした経済不安が続く限り、投資需要の金への移行は加速する可能性が高いです。今後、貿易摩擦や経済制裁などによる世界情勢の不安が高まれば、安定資産である金の需要はさらに増加し、価格の大幅な上昇は続いていくとみてよいでしょう。
金額が2倍になると予想される理由２：インフレと通貨不安の懸念
物価が上昇したことで実質的な通貨の価値が目減りしている近年、インフレの対抗策としても金に注目が集まっています。
金融緩和の継続や国債への信用不安が顕在化し通貨の購買力が減少しつつある経済情勢において、希少価値の高い実物資産である金は経済が悪化しても価値が安定的であるため需要が高騰する傾向にあります。
また、円安傾向が今後も持続すれば外貨建ての金価格は相対的に上昇する可能性が高いです。過去には、1970年代の高インフレ期にも金相場が急騰しているため、今後もインフレが続けば金の価格は今以上に高騰していくでしょう。
金額が2倍になると予想される理由３：供給制限と中央銀行の介入
近年、準備資産として金を積極的に保有する傾向が世界各国で高まりつつあります。中国やトルコをはじめとした各国の中央銀行では、外貨準備を金に切り替える動きが高まっていて需給の逼迫が懸念されている状況です。
埋蔵量が限られている金は非常に希少価値が高く、年間の採掘量は約3,000tにとどまり、未採掘の金も約5万tと推計されています。
さらに、採掘コストの上昇や環境規制の強化に伴って、新たな鉱山の開拓も滞っているのが現状です。こうした状況で金の需要が高まれば、金相場は今後も上昇を続けていく可能性が高いでしょう。
金価格の変動に影響を与える要因
- 世界情勢が不安定なことによる地政学リスク
- 為替(米ドルの価値)の変動
- 需要と供給のバランス
- 金利政策の実施
- インフレーションとデフレーション
今後も金の価格は上昇傾向を維持する可能性が高いという予想についてご紹介してきましたが、ここからは金の価格がどのような要因で変動しているのかという点について詳しく解説していきます。
地政学リスク
金の価格変動を引き起こす要因の一つが「地政学リスク」です。
地政学リスクとは、地理的な位置関係によって発生する政治的、軍事的、社会的緊張の高まりが、ある特定の地域や世界経済全体に与える悪影響を指し、ビジネスや投資判断などに大きな影響を与える要素の一つです。
これまでも世界的有事の際には、安定的な資産である金の需要が高まり、価格が高騰する動きが繰り返されてきました。
近年では、コロナショックにはじまり、米中貿易摩擦、ウクライナ侵攻、パレスチナ問題など、世界情勢が不安定で先行き不透明な状態が続いています。
こういった戦争や紛争、国家間の政治的軋轢などによる経済不安が高まる時期には、金の値段は上昇しやすくなります。
米ドルの価値変動
金は、国際的にアメリカのドル建て価格で取引されているため、金の価格は米ドルの価値に影響を受けます。
基本的に、米ドルが高くなれば金の価値は下がり、米ドルが下がれば金の価値は高くなるという逆相関の関係性になっています。
アメリカ国内で米ドル以外の通貨で金を購入する場合を例に考えてみると、為替がドル高に傾いたときには同じ重量の金であっても支払う金額が高額になってしまうのです。そのため、米ドルで金を購入するときには、金の価格を下げるための価格調整が行われます。
反対に、ドル安になった場合には金の価格が上昇する傾向にあり、日本国内における円建て価格でも、基本的にほぼ同じような値動きがみられます。
需要と供給のバランス
金に限ったことではありませんが、価格相場は基本的に需要と供給のバランスによって変動しています。
需要に供給が追いつかず希少価値が高まると金の価値が高くなり、需要を上回って有り余る供給量となったときには金の価格が下がります。
現在、金は装飾品や資産投資だけでなく、パソコンやスマートフォンなどの電子機器や自動車産業など、様々な分野で広く用いられているため、非常に需要が高いです。その反面、採掘できる金やリサイクルで再利用可能な金の量には限りがあり、供給量は十分とは言い難い現状にあります。
先ほどもご紹介した通り、採掘が可能な埋蔵量も残り少なくなってきているため、金の価格は今後も上昇していくことが予想されます。
政策金利の実施
金の価格変動には、各国の中心的な金融機関である中央銀行が設定する政策金利も大きく影響しています。
基本的に、政策金利と金の価格は逆相関の関係になります。経済不安などの対抗策として中央銀行の政策金利が下げられると、通貨の価値が下落しインフレへの懸念が高まりやすく、リスクを避けるため安定資産である金を購入しようとする投資家が増えるためです。
ただし、近年では順相関の値動きがみられるケースも出てきているため、政策金利のみで金の価格を予測するのは避けたほうがよいでしょう。
先ほどご紹介したように、地政学リスクや為替変動など様々な要因が金の価格に影響を与えているため、政策金利以外の経済情勢も注視する必要があります。
インフレとデフレ
物価や通貨の価値の動きも、金の価格変動に影響を与える要因の一つです。
物価が上がり続けているのに対し、通貨の価値が下落し続ける現象をインフレ(インフレーション)と言い、反対に、通貨の価値が上昇し続けているのに対し、物価が下がり続ける現象をデフレ(デフレーション)と言います。
端的に言えば、インフレは現金の価値が下がること、デフレは現金の価値が上がることを指し、現在の日本は物価の高騰が著しい中で、円安傾向が継続しているインフレの状態にあります。
インフレの状態が続くと、株式や債券などの価値も下落するため、インフレの状況下でも価値が安定的な金の需要が高まり、需要の高騰に伴って金の価格が上昇するのです。
金価格の今後の予測
金は今後いくらまで上がるのか、10年後には金の価格はどうなるのかといった、今後の金相場について予想される値動きなどを詳しく解説していきます。
短期予想と長期予想の双方を解説しますので、参考にしてみてくださいね。
短期的には下落する可能性がある
金の価格変動を引き起こす要因が多発的に存在していて、短期的な値動きについては正確な予測が難しくなっています。
経済政策や世界情勢などの変化によって、金の価格が一時的に急騰したり急落したりすることもあります。実際に、アメリカの行った関税政策の報道後には、一時的に金相場が乱高下する事態に陥りました。
現在、ウクライナ侵攻やパレスチナ問題、米中貿易摩擦など、不安定な世界情勢が続いていて、金の価格が変動しやすい状態といえます。
短期的に見ると、インフレ指標や政策金利、地政学リスク等の報道に相場が過剰に反応し、暴落する可能性も大いにありますが、あまり過敏になりすぎずに先を見据えて価格動向を見極めることが重要です。
長期的には上昇すると予想される
長期的にみると今後も金の価格は上昇を続けるという見方が優勢です。
金相場の上昇傾向が今後も続くと予測される理由としては、長期化するインフレや地政学リスクに加え、各国の中央銀行や投資家による積極的な金の購入などがあげられます。
米銀行大手も、2026年の中頃には金の価格が4,000ドルを超えると分析しているほか、2030年までに4,500ドルを超えるという見方もあります。
これらの予想は、この先も金の需要が高い状態で維持されることを前提としていますが、世界経済が急速に回復し各国の金融引き締めが進んだ場合には、金価格の上昇傾向が落ち着く可能性もあるため世界情勢をしっかりと注視しておきましょう。
金価格が2倍になったらどうする？
実際に金の価格が現在の2倍になったとしたら、どういった行動をとるべきでしょうか。
金価格が急騰したときに発生するリスクや回避するための方法、金を売るベストなタイミングなどについて詳しく解説していきます。
金価格の上昇に伴うリスク
金の価格が高騰している局面では、より慎重な姿勢が必要です。とくに急激な価格上昇の後には、反動で相場が暴落することがあり、実際に2011年には金価格が史上最高値を付けた後に下落傾向へと急転しました。
さらに、金は安全資産と呼ばれる一方で短期的な価格変動が大きく、突然の下落で慌てて売却してしまうと損失を被ることもあります。生活に支障のない範囲で金を保有することと、過剰反応しすぎず長期的な視点を持って投資することが重要です。
また、金の価格が急騰している時期には、悪質な詐欺や品質の低い金が出回るといった事例が増加する傾向にあるため、信頼できる業者を選び冷静かつ慎重に判断することがリスク回避につながります。
金を売る最適なタイミング
金の価格が上昇していると、今がベストな売り時なのか、もう少し売却を待つべきかと売却のタイミングに悩む方も多いでしょう。
現在の資産状況や今後の資産形成などによっても、最適な判断は異なってきますが、できるだけリスクを低く抑えたい場合は、今の高値で一部の金を売却し利益を確定させるのも一つの手段です。
一方で、長期的な資産の安定やインフレ対策のために金を保有しているのであれば、短期的な価格変動に振り回されず保有を継続するのも賢明です。将来的にさらなる価格高騰が予想される場合は、一部を残しておくことも有効な戦略でしょう。
基本的には、金相場の動向を常に確認しながら、状況に応じて柔軟に対応することが大切です。売却を考える場合は、複数の買取店で査定額を比較し、信頼できる買取業者を選ぶようにしましょう。
金を高値で売却するポイント
実際に金を売却するとなったら、できるだけ高く売りたいですよね。
基本的には、そのときの価格相場に基づいて査定額が算出されますが、少しでも高く金を売却するために押さえておきたいポイントを4つご紹介します。
ポイント１：付属品があれば一緒に持ち込む
売却する金製品に保証書などの付属品がある場合は、必ず一緒に査定にもっていくようにしましょう。
金の重量で価格を計算するだけなら、売却に付属品は必要ないと思われるかもしれませんが、付属品によって買取価格が変わるケースもあるのです。
とくに、売却するアイテムが金の腕時計やジュエリーなどであれば、製品自体が金の重量で換算するよりも高い価値を持つ場合があり、保証書の有無によって査定額が大幅に変わることもありえます。
ポイント２：できるだけきれいな状態で売る
アイテムによってはそのまま再販されることもありますが、買い取られた後の金は基本的に溶かして再利用されるケースが多いです。
どちらにしても、買取店が買取を行った後にはクリーニングが必要になるため、自分で拭き取れるような汚れであれば査定の前にきれいにしておくと好印象を与えられますよ。
金製品の汚れがひどい場合は買い取った後のメンテナンスにコストがかかるため、査定額が減額されてしまうこともありえます。
ポイント３：金の相場が良いときに売却する
公表相場をしっかりと確認して、金の価格が上昇しているときに売却することが高価買取の近道です。
これまでにご紹介してきた地政学リスクや為替変動、政策金利など、金の価格に影響を与える様々な要因を把握し、価格の動向を読み解くことが求められます。
基本的には自己責任ですが、なかなか自分で金相場を予測するのは難しいという方は、信頼できる買取店を探して売却のタイミングを相談できるようにしておくとよいでしょう。
ポイント４：何軒か回って査定額を比較する
金の買取価格は公表相場に基づいて算出されるため、どの買取店に持ち込んでも大きな価格差は生じない場合が多いです。
しかし、買取店によって価格の算出方法はそれぞれ異なっているため、売却する金の重量によっては査定額に差が出ることもあります。
売却する金の重量によっては、買取店の提示する査定額に差があるケースもあるので、自宅の近くに買取店がいくつかある場合は、何軒か回って査定額を聞いてみるとよいでしょう。
まとめ
まとめ
- 金の価格は今後も上昇を続ける可能性が高い
- 金の価格は様々な要因から影響を受けている
金の価格が今後2倍になるとの予想について、その理由や価格変動の要因などについて詳しく解説してきました。
今後も、世界的な経済不安は長期化する可能性が高く、金の価格もそれに伴って上昇を続けるという見方が優勢です。
しかし、上昇傾向が続く見込みであるとはいえ、金の価格が下落するリスクもゼロではありません。金投資に限ったことではありませんが、しっかりと世界情勢に目を向け冷静に動向を見極めることが重要です。
