マテラッセとは

マテラッセは、ラグジュアリーブランド「シャネル」や「ミュウミュウ」が発信しているバッグや財布のシリーズ名です。また、マトラッセと表記する場合もあります。

マテラッセとは「詰め物をする・綿入れをする」を意味するフランス語に由来する言葉で、布地の表裏に2種類の糸を使用し、裏糸の張力によって表に凸凹の模様が浮き出しているのが特徴です。日本語では「ふくれ織り」と呼ばれています。また、マテラッセの素材は布だけではなく、レザーやナッパスキンにマテラッセ加工を施したバッグもあります。

シャネルのマテラッセバッグは斜めにステッチをかけたダイヤ型格子デザインで有名で、ブランドを代表するシリーズとして定番人気です。また、ミュウミュウのマテラッセシリーズでは、独特のしわ感があるストレッチが魅力となっています。

マテラッセは、女性らしい柔らかさやエレガンスにくわえて高級感を演出するテクニックです。シャネルでは、黒や茶などシックな色合いのものからパステルカラーまでが展開されています。一方、ミュウミュウのマテラッセは、個性的なデザインで美しい色合いの品ぞろえがあることが特徴とされています。ミュウミュウのマテラッセにはかわいらしいイメージがあり若い女性向けのように思われがちですが、落ち着いた色合いのものを選べば、大人の女性にも似合います。

マテラッセの歴史

マテラッセの歴史は1929年、シャネルによって発表されたデザイン案にさかのぼります。

ココ・シャネルは、体をコルセットで締め付ける従来の女性服スタイルに異議を唱え、社会に出て働く女性のための服「シャネル・スーツ」を生み出した人物です。続いて、当時は手持ちのものばかりだった女性のバッグにも注目したシャネルは、両手を自由にしつつ置き忘れを防げるように、持ち手が付いたバッグを考案しました。

1930年代に入ると、肩にかけるチェーン付きのショルダーバッグがシャネルから生まれます。1955年、シャネルバッグの定番となるショルダータイプのマテラッセバッグが発売されました。

一方、「ミュウミュウ」ブランドが生まれたのは1993年です。プラダの創始者であるマリオ・プラダの孫娘、ミウッチャ・プラダによって創始されました。ミウッチャは「プラダ」の3代目オーナー兼デザイナーでもあります。また、ミウッチャは女性解放運動を支援しつつ「日常をぜいたくに飾る」をコンセプトとして革新的なデザインを生み出したため、現代女性の内面を最も表現できるデザイナーと評価されました。

マテラッセで有名な2人のデザイナー、ココ・シャネルとミウッチャ・プラダ。世代がまったく異なる2人のデザイン・コンセプトは、偶然にも「女性を解放し、より輝かせる」という一致を見せています。だからこそ、時代を越えて多くの女性に愛されているのではないでしょうか。